機能不全家族はアンバランスなモビール
- Aira-Life-Coaching
- 2024年8月24日
- 読了時間: 6分
更新日:2月22日

機能不全家族とは、家族のメンバーが何らかの理由で苦しんでいたり問題を抱えいる場合、他の家族のメンバーにも影響が出て、家族内の適切なバランスが取るのが難しくなる状態を言います。
自己愛性パーソナリティ障害の人の育った環境には、この機能不全家族であることが多いです。また、ターゲットとなる人も、機能不全家族で育ち何らかのトラウマを抱えているケースが多くみられます。
英語では “dysfunctional (機能不全)family”、または “imbalanced (バランスを欠いた) family” と呼ばれます。
私は個人的に “imbalanced”という言い方の方が適切だなと感じます。家族をモビールだとイメージしてください。複数の家族メンバーがバランスを保って、空間に存在しています。
このモビールのパーツの一つが調子を崩す事により、モビール全体に影響を及ぼしてバランスがとれなくなりますね。機能不全家族はこの状態だと考えてください。
家族の一人がバランスを保てなくなる原因は主に、依存性、暴力、病気、パーソナリティー障害など様々なものがあます。バランスを欠くと、他のモビールのパーツがどうにかバランスを保とうとして、違う動きを始めます。
機能不全家族をどうにか健全な状況に戻そうとして、多くは子供が無意識にその役割を担おうとします。
典型的な役割は次の8つです。
①Golden Child (ゴールデンチャイルド)
何の問題もない子供。大人になってから完璧主義になりやすい。低い自己肯定感を持ち、自分の価値を他者から認めてもらうことで確認しようとするため、依存状態になりやすい。
②Hero(ヒーロー)
いわゆる「出来る子」として家族の中心にいることで、家族の本質的な問題から目を逸らさせる。ヒーローの存在とその学校等での高い評価や成果により、うちの家族は大丈夫だと思わせる(本来の家族内の問題から目を逸らした状態)。大人になると達成や成功を追い求め過ぎ、完璧主義になったりオーバーワーク気味になりやすい。
③Skapegoat(スケープゴート)
ヒーローの対極にあり、自分が新たな問題や関心の中心になることにより、家族の本来の問題から目を逸らす。病気がちな子供や、学校でわざと問題行為を起こすなど。
④Enabler/Caretaker(イネイブラー/ケアテイカー)
両親が、例えば依存性や精神疾患、パーソナリティー障害などで家事や他の家族の世話が出来ない場合、ケアテイカーの子供が家事や他の兄弟の面倒を見たり、両親の世話をしたりするなど。大人になってからも他者の問題も自分の責任と感じ、解決しなければと必要以上に努力する傾向がある。
⑤Mascot(マスコット/ピエロ)
家族内に問題が起きると、おどけたりふざけたりして、場の雰囲気を和ませようとする。両親のケンカなど軋轢が起きたら、ひょうきんに笑わせて仲裁したり兄弟の怯えを緩和させたりするなど。
⑥Identified Patient(病弱者又は依存症者)
主に依存性の両親を持つ子供に見られる。自分が薬物やアルコール依存性になることで、元は両親の依存性に起因した本質的な家族の問題から目を逸らさせる。そのため依存性の治療を拒否することが多い。
⑦Lost Child(ロストチャイルド)
家庭内の問題から身を守るため、なるべく注目されないよう存在感を消し、家族の注目を集めないよう一人でいようとする。問題行動を起こさないため、ヒーローと同じく、うちの家族は大丈夫だという根拠に使われる事も多い。家族と関わりをなるべく持たないように育つため、家庭外でも人間関係を築く事に困難を感じることが多い。
⑧Parentified Child
両親のうち一人が不在であったり心身が健康でなかった場合、その役割をする子供。ケアテイカーと類似する。大人なってから自分自身のパートナーに機能不全や健全な関係を築けない相手をパートナーに選びやすい。境界線を引くことが難しく、自分の価値をパートナーからの承認にゆだねるようになりやすい。
ご自分にこの8つの役割の兆候が見られたとしても、その全員が機能不全家族で育ったと言うことではありません。程度の問題です。
誰でも、どれかに多少は当てはまるのではないのでしょうか。本人の性格の範疇に入ることもあるし、誰でも多かれ少なかれ、家庭内で無意識に望まれる役割を果たそうとしている所はあると思います。
100%隙がなく健全な家庭というのも存在しません。どんなに健全な環境の家庭で素晴らしい両親の元に育っても、ある程度の諍いや問題はあります。親子間での衝突や誤解、あつれきも、むしろ子育ての過程には、何度となく発生するのが普通です。なので、その兆候があるからと言って、その家庭全てを機能不全としてカテゴライズする目的ではありません。
ただ、その役割を演じ続けたことによって、大人になっても生活に支障が出るほど困難をきたす場合は、機能不全家族で育ったのかもしれない、と遡る事が、現在の自分の生きづらさの改善につながる可能性があります。
幼い頃の養育者との愛着スタイルは、大人になってからの自分の愛着スタイルの形成に深く影響すると言われています。
ものすごくわかりやすく例をあげると、例えば恋人が自分抜きで出かける時いつも普通ではない絶望感を感じる。それは、小さい頃両親が仕事に出かける時、いつも一人で留守番してたから、とか。
ただこれは、ものすごくわかりやすいように例にしただけで、実際にはこんなに簡単に分析できない複雑なものだし、大多数の人が無意識です。
それに気がつく事によって、現実の生きづらさを改善したり、人間関係の築き方やパートナーとの関係をより良いものにする、ヒントを得ることが出来ます。
生きづらさを抱えている、その多くが幼少期や家族内の経験に起因します。
自分の過去や経験に向き合うのは時に苦しい作業です。
向き合うのが苦しいと感じたら、決して無理しないでください。適切に導いてくれる専門家につながることをおすすめします。
機能不全家族で育った人は、親との愛着スタイルの形成が大人になってからの人間関係の構築に深くかかわってきます。自分やパートナー、身近な人の愛着スタイルを知ることで、人間関係を理解しよりよい関係を築くヒントになります。
このような愛着スタイルについてもっと深く知りたい方は
動画講座「愛着スタイルと愛着障害」をご覧ください。
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あなたが健やかで明るい未来へ向かいますように。
NPDサバイバー回復コーチ
堂前宏美
References:
Kaytee Gillis, "8 Common Dysfunctional Family Roles" Psychology Today, 2023.




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