ドーパミンと間接強化の罠ー自己愛性パーソナリティ障害(NPD)と離れられないのはなぜ?
- Aira-Life-Coaching
- 2024年4月4日
- 読了時間: 4分
更新日:3月22日

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人は、ターゲットを支配し続けるために、Intermittent Reinforcement (間欠強化)を巧みに行います。
「間欠強化」とは、冷淡な態度をとったり無視をしたり、別れをほのめかしてターゲットの心を揺さぶった後、優しい言葉や愛の爆弾を織り交ぜてターゲットを喜ばせ、その後急激にまた冷淡になる、そしてまた不意に優しくなる、そのサイクルを利用してターゲットを支配することです。
暴力を振るった後急に優しくなる、という典型的なパターンを聞いたことがある人も多いのではと思います。
そうやって身体的・精神的虐待と優しさやプレゼントなどを織り交ぜることにより、ターゲットの心を支配しているのです。
NPDにターゲットにされている人は常にサバイバルモードになっています。人はサバイバルモードにおかれると、ほんの少しのポジティブな事柄を一筋の希望としてすがってしまいます。この人は完全に悪い人ではない、優しいところもあるし穏やかな時もある、と思ってしまうのです。
又、たまに優しさをもらう事で、ターゲットの脳内には幸福ホルモンであるドーパミンが放出されます。
スロットマシンなどのギャンブルの効果的なカラクリは、不規則に当たりを出す事です。人はコンスタントに当たりがでるより、次にいつ当たりがでるかわからない、という状況の方が当たりが出た時に急速にドーパミンを放出されることがわかっています。
これをIntermittent Reinforcement (間欠強化) とよび、 NPDはターゲットに対してこれをたくみに利用する事で、自分に執着させてコントロールします。つまり、依存症と同じ状態にするのです。
このサイクルから抜け出すには、まず、知ること。これはNPDが使っている支配の仕組みなんだと認識する事。自分は恋愛依存症の状態にさせられているだけであり、本当に相手に愛情があって離れられないわけではないんだという仕組みを知ってください。
そして、NPDの人との関係とは別の所から、ドーパミンを出すようにしましょう。他の大切な友人と会ったり、好きな物を食べる、行きたいところに出かける、趣味や習い事をする。エクササイズも効果的です。そうやって他の所から幸せを感じてドーパミンが出るようになると、脳内のドーパミンシステムがだんだん変わってきます。
これは依存症治療でも用いられる論理です。脳の回路は、変えられるのです。
いつも苦しい状況に置かれて、たまに与えられるたったひとかけらのパンを常に待ち望みすがっている、そんな状況よりもっと素晴らしい幸福を得る権利があなたにはあるのです。
この世でたった一人のかけがえのない存在であるあなたは、素晴らしいあなたにもっとふさわしい場所で、もっと幸せになる当たり前の権利があることを、忘れないでください。
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*「NPDの三段階のサイクル」についてXスペースでお話しました。リスナー様からの質問にもお答えしています。聴いてみたい方はこちら
あなたが健やかで明るい未来へ向かいますように。
NPDサバイバー回復コーチ
堂前宏美
References:
Shahada Arabi, "Power-Surviving&Thriving After Narcissistic Abuse" 2017, Thoughts Catalog Books
Shahada Arabi, “Narcissists Use Trauma Bonding and Intermittent Reinforcement To Get You Addicted To Them: Why Abuse Survivor Stay?” 2019, PsychCentral
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