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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)との関係の構築

更新日:3月22日

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)との関係の構築

前回の記事で、自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の人は治療が難しいケースが多いというお話をしました。


では、実際に自己愛性パーソナリティ障害(NPD)との関係の構築はどのようにすれば良いのでしょうか。


1.相手は変わらないと認識する


NPDの人はその特性ゆえに、自分の言動を省みたり反省したり、非を認めて謝罪したり、話し合って妥協点を見つける、などの行為が難しいです。ゆえにカウンセリングやセラピーに通っても、自分から変わろうとはしないケースが多いです。


ですからあなたが、NPDのパートナーとの関係を改善しようとした時は、相手が変わる事を期待することはできない、とまず認識しましょう。相手を変えようとする方向にあなたが努力しても、その分あなたが傷ついてしまう可能性が上がるだけ。その事をまず理解して下さい。


その上で、あなたがこの関係に留まるか留まらないか、よく考えて下さい。必ずしも関係を終わりにして離れましょう、と勧めているわけではありません。それはあなたが決める事です。もし留まって関係を続けていこうと思うなら、この先何があってもあなた自身の幸せや心身の健康を最優先すること。その事を肝に銘じて下さい。あなたを犠牲にするのはやめる。自分を一番に守る。その覚悟をしてください。


2. 相手のトリガーを把握する


前回でお話したように、NPDの人は幼少期の経験やトラウマ、親との関係がその原因となっている場合が多いです。自己を必死に守ろうとしてその特性を身につけたということ。なので、相手がどのような事で怒りを感じるのか、どのような言葉や出来事で傷が思い出されてしまうのか、それをできるだけ把握しましょう。相手の生育歴や家族関係などを知り得る状況ならそれを理解すると、相手がなぜこのポイントで怒るのか、などわかることもあると思います。そのトリガーがわかればそれを避けたり、心の準備ができます。NPDは健全な自己愛を確立できなかったことに起因しますので、自己肥大の裏には強烈な自己否定や低い自己肯定感があります。そこに触れられたり、知らない事や出来ないことなどを指摘される事が、トリガーになっている事が多いです。


3. 境界線をはっきりとひく


相手が傷を持っているからといって、あなたを傷つけて良い理由にはなりません。1でお話ししたように、あなたの心身の健康が最優先であり、そこを侵される時には、キッパリと線を引きましょう。言い返したら倍で返ってくるかもしれないと恐れたり、相手に面と向かってノーと言えない状況もあるかもしれません。その場合でも、必ず心の中での境界線は自分の中ではっきりと自覚しておくこと。NPDのパートナーがいると往々にして自分さえ我慢すればやり過ごせる、相手にも事情はある、私にも悪いところがあったかも知れないし、などと自分を後回しにしがちです。でも、自分が傷つけられる事を自分で許してはダメです。私は傷ついている、それを私は嫌だと思っている、その気持ちを見過ごさないで下さい。


4. 自分をケアする時間を作る


3.でお話したように、自分の心身の健康と尊厳を最優先に、と言われても、どうやってそうしたらいいかわからない、という方もいると思います。NPDのパートナーを持つ人は、ガスライティングや三角関係化などによって、自分の意思や考えに自信を持てなくさせられ、自己肯定感を奪われている場合が多く、自分を大切にするという事が一体どういうことなのか、それがわからない、という状態になっている人が多くいます。


まずはあなた自身をケアすることから始めましょう。何でも良いのです。好きな物を食べる、好きな服を着て出かける、いい匂いの入浴剤を入れてお風呂にゆっくり入る。あなたを大事に思ってくれている友達と会う、疲れたら昼寝する。コーヒーと紅茶か迷ったら、自分がその時本当に飲みたい方を選ぶ。


小さな事でも良いのです。そうやって自分が気分が良い、楽しい、嬉しいという感情が湧く事を少しずつやってみましょう。続けていくうちに、自分を大切にするという事ががどういう事か少しずつわかってきます。


それが出来る様になるにつれ、NPDの相手と向き合う際も自分の精神の健康を一番に考える、という事がわかるようになってきます。あれ、こんなに酷いこと事を言われてるけど何で私は言う通りにしているんだっけ?と、ふと冷静に気がつく瞬間に出会います。その瞬間を忘れずに。その気づきを積み重ねて行きましょう。


5. サポートネットワークを作る


NPDのパートナーがいる人は孤独に陥りがちです。段階を追って振り回されたり、ガスライティングなど巧妙なやり方で自尊心を奪われている事が多く、自分が間違っているのかも、と思って誰かに相談できなかったりします。NPDの人は外面が良く、世間からよく思われている事も多いので、あなたが言う事を誰も信じてくれないかも、と思って言えなくなってしまうことも多い。


けれど、孤独でいると、ますます自分に自信が持てなくなり相手との関係に閉じ込められ、適切な判断ができなくなってしまいます。カウンセリングに通ったり、オンラインやSNSのNPDのパートナーを持つ人のコミュニティなど、自分をサポートしてくれるネットワークを作ることが大事です。客観的に自分の状況を見て違う視点から気がつくこともありますし、自分の話を聞いてもらえる人や場所があることにより、あなたの心をケアすることにも繋がります。


6. 別れた場合は、連絡は絶つ


あなたがもしNPDのパートナーとお別れをしたら、その後連絡は一切経ちましょう。NPDの人は、別れた後も友達でいよう、などと言って関係を維持しようとする事が多いです。そうやってあなたを自分のコントロール下に置き続けようとします。


別れた後も、あなたは振り回されたりガスライティングスミアキャンペーンなどで傷ついた自分の心を癒したり、奪われてしまった自己肯定感を回復させたり、自分を何よりも大切に癒す時間を作らなければなりません。その大切な時期に相手から連絡があったり話したりする事によって、傷がぶり返し元に戻ってしまう可能性があります。向こうは何とか連絡を取ろうとしてくるかもしれませんが、話したり会ったりしない事をおすすめします。


NPDのケースで中には別れた後ストーカーになってしまう場合もあります。万が一身の危険を感じたら早めに公的機関や警察などに助けを求めてください。まさかそんな事はないだろう、と思うと対応が遅れてしまいます。可能性があるということを念頭に置いて、早めに対応してください。


さらに自己愛性パーソナリティ障害のサイクルや、良く用いられる手法について詳しく知りたい方は、




をぜひお読みください。


あなたが健やかで明るい未来へ向かいますように。


NPDサバイバー回復コーチ

堂前宏美


*「NPDのパートナー」についてXスペースでお話しました。聴いてみたい方はこちら



<参考>

岡田尊司『パーソナリティ障害』: PHP研究所 

岡田尊司『パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか 』PHP新書


Shahida Arabi 『Power』: Thoughts Catalog Book

Shahida Arabi 『POWER: Surviving and Thriving After Narcissistic Abuse: A Collection of Essays on Malignant Narcissism and Recovery from Emotional Abuse』 (English Edition)






Comments


森の木

下記の内容に当てはまる場合は
「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」の可能性があります

相手の言動で以下のパターンに当てはまることはありませんか?

もしあてはまるなら相手は「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」の可能性があります。

  • ​あなたとの関係に第三者を持ち込もうとする(元恋人、他の友人、他の同僚など)

  • あなたが傷つくようなことをしたり言ったりした事を覚えていない、又は本気でなかった/冗談だったなどとごまかす

  • 冷たい態度をとった後、非常に優しくなる

  • 別れても友達でいようなどと言って関係を保とうとする

もしあなたが相手のこのような言動に傷つき悩んでいるなら

まずはあなたの頭の中でこんがらがってしまった糸を少しずつほぐしていきましょう

 

自分に一体何が起きているのか 相手との関係に何が起きているのか

だんだんとそれが見えてきます

やがてはっきりとクリアに理解した時

初めてあなたは自分にとってベストな選択ができるようになる

私がそのお手伝いをします

 

自由な心を取り戻して​ より良い自分の未来へと進んでいきましょう​​​

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