本当はもろい自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の「自己愛損傷」
- Aira-Life-Coaching
- 2月26日
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更新日:3月1日

自己愛性パーソナリティー障害の人は、自分の事を特別だと思っていて尊大なふるまいをするので、一見自信満々のように見えるかもしれません。ですが、NPDの治療でご説明したように、その誇大性の裏には非常にもろい自己を抱えており、自己肯定感が非常に低く、それを補おうとして自分を特別な存在だと思い込もうとしているという特徴があります。
実は非常に他傷つきやすく、他者に批判されたり、自分を賞賛してもらえなかったり、単なる意見の相違などでも、過剰に傷ついてしまいます。
私たち人間は生活する中で、他者と意見が合わなかったりぶつかったりすることは当然あります。その場合、通常は話し合ってお互いを理解しようと努めたり、妥協点を探して歩み寄ったり、自己を省みて改めるところは改めたりと、何らかの対策を取って感情に折り合いをつけます。感情をプロセスして前へ進むことができる。
ですがNPDの人は根底にもろい自尊心を抱えており、不健全な自己愛があります。自己を確立できておらず、自分の存在意義を他者が自分を賞賛したり特別扱いしたりすることで、どうにか保っています。そしてそれが少しでも覆されそうになると、たちまち心が深く傷つてしまうのです。
これを“Narcissistic Injury”と呼びます。“Injury” とは、ケガや損傷という意味。日本語に訳すと「自己愛損傷」ということになるでしょう。
この本当はもろい自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の「自己愛損傷」によって、NPDの人は通常では考えられない過剰な反応を表し、それは他者への攻撃や激しい怒りとなります。突然激高したり、相手を侮辱したりののしったり、相手を加害者にして被害者ぶったり、嘘をついたり、サイレントトリートメントなどの受動攻撃を始めます。
この自己愛損傷の原因となるきっかけを挙げてみましょう。
・他者との意見の相違
・昇進など手柄を他者にとられる
・自分の思い通りに他者が動かない
・期待した賞賛がえられない
・自分の思い描く理想通り物事が進まなかった
・ミスを指摘される、批判される
・人前で恥をかく
これらのことは、どんな人にも普通に起こることであり、通常の生活において私たちは避けることはできません。
しかしNPDの人は本当にほんの少しのできごとに過剰に反応するので、通常周囲の人は驚き、何が起こったのか理解できずにとまどったり攻撃に傷ついたりしてしまいます。
自己愛損傷をしているNPDの人が、過剰に激高して言われもない攻撃を受けたら、まずは一歩距離を取りましょう。反論したり攻撃仕返すとさらに攻撃が増す可能性があります。
冷静に距離をとること。そして、これは自己愛損傷なのであって、自分は悪くない、と客観的に判断し、落ち着いて行動してください。 自分の心の平穏をまもりましょう。
NPDのタイプによってこの「自己愛損傷」は違う形であらわれます。それぞれのタイプについて深く知りたい方は、
オンライン講座『NPDの5つのタイプ』をご覧ください。
*リアルタイム受講は終了しております。アーカイブ受講2025年3月22日まで受付中。
あなたが健やかな明るい未来へ向かいますように。
NPDサバイバー回復コーチ
堂前宏美
References:
Nancy Lovering, "Narcissistic Injuries: What They Are and More" PsychCentral, 2022.
Karyl McBrlide, "Understanding Narcissistic I njury :Narcissists do not forgive or forget" Psychology Today, 2020.
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